「『笑み男』は、笑顔が描かれた紙袋を被って
泣いている女の子の前に現れ、こう言うの……」
悲しいんだね。でももう泣かなくていいんだよ
君に、永遠の笑顔をあげるから
「そして女の子は殺されて、『笑み男』と同じ紙袋を被せられたまま、その場に置き去りにされる……」
「?!……」
「……というのが、最も一般的な話なの」
「で、お客さんはあんなところで何を? ん? もしや捜査関係者だとか……」
「え? いや、僕はその、何て言うか……」
「んなわきゃないですよね! 高校生くらいでしょ? お客さんは」
「ワタシ、あのあたりは仕事でよく通るんですけど、あそこで人を乗せたことって……ないんですよ」
「だから、あんなところで何してたのかなぁって……」
「ちょっと…… 用事が……」
「あんまり詮索しちゃだめですね、すみません……」
「ところで、何の話してたの?」
「あの、佐々木くんのお友だちに関する例の噂の……」
「噂……」
「あっ! あーっ! ああーっ!」
「ちょ、ちょっと、声大きい……」
「確かにあの噂話は超重要な情報だね……さすがっ! やるじゃんっ!」
「超重要な情報って、何なの?」
「実は佐々木くんと一番仲の良かったケンジくんという男の子が……」
「佐々木くんと森本さんを取り合っているらしい!……という噂がありました!」
「?!……」
「えっ……私は、山本くんじゃなくて、滝口くんが取り合ってたって……」
「滝口くん? やばっ、もしかしてまた間違えた?!」
「しかし何より気になるのが、死亡した彼のあの姿だ」
「はい。……先生は何か心当たりが?」
「……ああ。実は、彼が発見された時のあの姿が……」
「18年前に起きたある事件の被害者とそっくりなんだよ」
「?! すると、その当時の被害者もあの紙袋を?」
「ああそうだ。今またあんな被害者の姿を見るとは思わなかったな」
「18年前、香福市で連続少女殺人事件が起きたんだ」
「連続少女殺人事件……?」